■今回のメルマガでは、利食い(プロフィットテイク)と損切り(ロスカット)についてお話しましょう。
まず、私は、「損切りは大切なことであり、損切りを覚えないと相場に入ってはいけない」ということを、この場で改めて強調するつもりはありません。
損切りが大切なことぐらいは誰でも知っていることだからです。
ただ、大切なことを1つ言っておきたいと思います。
それは、人間の脳と言うのは、正しいことを教えてもらってもそれを習得するには相当時間がかかるということです。
人間というのは、失敗をして初めて、過ちを認識し、体得していくというプロセスを踏むことが普通ということが、最近の脳科学の研究から分かってきたようです。
ですから、幾ら人から言われても、また、頭で理解はしていても、自分自身で体得して学ばなければ身に付かないものだということです。
つまり、知識だけでは、実践にて何の役にも立たないということです。
■ところで、実際に学ぶとなると、損切りに絡む失敗を経験する必要があります。
ただ、損切りが上手く出来ないことを経験することを通じて、損切りのコツを覚えるには、「授業料」を払うことになります。
ですから、理想的には、あまり「授業料」を払わずに、「損切り」が上手に出来るようになれれば良いのですが、なかなかそういうわけにもいかないのが現実です。
人間の脳というのは、ある程度の痛みを伴わなければ学ばない構造になっているようです。
そこで、特に初心者の方にお勧めするのは、実弾を使って(実際にポジションを持って)、損切りをわざと練習してみることです。
その場合、出来るだけ、ポジションのサイズは小さい方が良いです。
何故なら、実損の額が小さいに越したことはないからです。
ただ、たとえ、小さな金額の損失でも、精神的には辛いものです。
大事なことは、その精神状態を敢えて経験してみることです。
デモトレードでは、この辺りの精神状態を経験することは難しいです。
実際の資金が動かない限りは、本当の意味での「失敗」「学び」はありません。
「デモトレード」を幾ら行って、収益を上げることが出来ても、実践だと、全く異なった結果になるのは、当然と言えば当然なのです。
そこで、とにかく少額でも良いから、実際に資金を用いてポジションを取り、損切りを経験することは実に意義深いことです。
■以下、私がお勧めすることを、お話します。
まず、大切なことは、単に損切りを行うということよりも、チャート(スパンモデル、スーパーボリンジャー)のシグナルが示す方向に、素直にポジションを取り続けることです。
具体例として、デイトレードをされる方であれば、1分足ないしは5分足スパンモデルのシグナル方向にポジション(最小限度のポジション)を持って、とにかくシグナル方向のトレードを行うのです。
シグナルが発生した方向にポジションを取りますから、全て倍返しの格好となります。
例えば、スパンモデルで買いシグナルが点灯している時に1枚のポジションを持っている場合、売りシグナルが点灯すれば2枚売るわけです。
あくまで、実践練習ですから、1枚は千ドルで十分です。
ここで、1つコツをお伝えします。
それは、遅行スパンの有効利用です。
例えば、デイトレードのケースを例にお話しすると、1分足スパンモデルを用いてトレードする場合、スパンモデルのシグナル転換だけでなく、遅行スパンの転換も必須の条件として、転換の判断を含めてトレードを行うのです。
転換して初めて逆向きのポジションへの倍返しとなりますが、遅行スパンが実態ローソク足(遅行スパンと同一時間にあるローソク足)に絡むうちは、転換したとはみなしません。
このようにすれば、ストレスを減らすことが出来、比較的余裕を持ってトレード出来ます。
尚、当然ですが、遅行スパンは終値時点で判断することがポイントです。
終値が確定するまでは、遅行スパンの位置も確定しないからです。
ここで、1つ付け加えるならば、1分足スパンモデルのシグナルを利用してエントリーする方向を、60分足スーパーボリンジャーの遅行スパンの転換している方向と同一方向に限定すると、収益実現の確実性がより増します。
ここでは、デイトレード用として、一例として、1分足スパンモデルのケースを挙げさせて頂きました。
その他、5分足、60分足、日足等々、スパンモデルには、時間軸が様々あり、デイトレードからスイングトレード、ポジショントレードまで用途は様々に存在します。
いずれにしても、トレードでの判断を出来るだけ、淡々と行い、考え過ぎないようにして、ポジションを操作していく練習をしてみることをお勧めします。
そうすると、トレードが実は簡単なのだということに気付かれること思います。
とにかく、複雑に考え過ぎてしまって、行動が後手に回ってしまっている結果、成功トレードが出来なくなっていたことがお分かりになると思います。
とにかく、練習を行うことで、私達の脳は学習します。
そして、大きなストレスを感じることなく、スムーズにトレードを行うことが出来るようになるのです。
特に初心者の方など、初期の段階では、千ドル単位の小さなポジションを持つことで、損失へのストレスを若干なりとも味わいながら、淡々とトレードする精神状態をぜひともご経験して頂くことをお勧めします。
■続いて、利食いについてです。
利食いについて大事なことは、すぐに利食いを入れることなく、出来るだけ、利を伸ばす練習をして頂きたいと思います。
私達は、利益が出るとすぐに利益確定したくなる傾向があります。
評価益を失いたくないという「恐怖感」が原因です。
評価損を実現させたくないという「恐怖感」と並んで、重要な「恐怖感」です。
評価益を失いたくないという「恐怖感」が強過ぎると、せっかくの良いポジションが生み出す利益を伸ばすことが出来なくなります。
この評価益をさらに伸ばすことが大変に難しいことは、皆様も重々ご承知かと思います。
ましてや、利が乗っている時に、さらに同じ方向にポジションを取ることは、かなり勇気の要ることです。
これを「利乗せ」と言いますが、これが的確な判断の基に出来るようになれば、上級者レベルということになります。
この「利乗せ」が出来なくても、現在持っているポジションから生まれる評価益を、相場の的確な判断を基に伸ばすことが出来れば、十分に生涯収益(キャリアプロフィット)が伸ばせることが出来る域に達したと言えるでしょう。
皆様は、「スパンモデル」や「スーパーボリンジャー」という強力な武器を持っておられるわけですから、この評価益を伸ばすこと自体、決して難しいことではありません。
シグナル判断、転換の判断さえ出来れば簡単に出来てしまいます。
もちろん、このシグナル判断、転換の判断は簡単です。
このように、利食いを客観的な尺度で持って、レベルを探る「テクニック」を身につけて頂くことはそう時間が掛るものではないのです。
相場を淡々と客観的に判断出来、それに基づいて造成するポジションの操作をやはり客観的、淡々と行うことが出来るようになれば、自動的に、収益はついてくるのです。
その為に大切なことは、とにかく小さな金額でも良いから、実践で練習してみることです。
ところで、以前にも申し上げたことですが、利食いと損切りを全く別のものだとして分ける考え方、すなわち、「二元論的発想」は危険です。
結果として利益になるのが利食いであり、結果として損失になるのが損切りに過ぎないという考え方が大事です。
要するに、ポジション操作の結果が、利食いか損切りとなるだけのことです。
トレンド方向の判断、トレンドの強弱の判断を行うことが全てです。
その判断に基づいて、ポジションを造成したり、手仕舞ったりするだけのことです。
ですから、冒頭でも申し上げた通り、私は、損切りの必要性を殊更めいて強調するつもりはありません。
相場にて、買いが優勢か、売りが優勢かの判断を行うことが先決であり、買いが優勢ならロングポジションを、売りが優勢ならショートポジションを取るだけのことです。
どうぞ、皆様は、損切りにばかり気を取られずに、相場そのものの分析手法を学んで下さい。
「利食いも損切りもあくまでポジション操作の結果である」ことをしっかりと頭に叩き込んで頂くことが何と言っても大切だということです。
以上です。