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どうぞ、ご一読下さい。
■158年の歴史を持つ、米国第4位の証券会社リーマン・ブラザーズ証券が破産申請した9月14日から約1か月経過しました。
しかし、相変わらず市場では「次はどこ?」という疑心暗鬼なムードが依然として漂う中、金融危機が実体経済にジワリジワリと浸透してきており、今後の世界金融、経済情勢は予断を許さない状況となっています。
もっとも、各国の弱った金融機関への公的資金の導入や、流動性枯渇を解決する為の中央銀行による資金供給など世界レベルでの救援策が進む中で、株式市場や外国為替市場はこの1週間は比較的、小康状態であったとも言えそうです。
ただ、金融機関が互いに資金を調達し合う短期資金市場では、ドル資金取引を巡っての流動性危機は依然として継続しているようです。
すなわち、民間銀行間の資金取引はほとんど成立せず、各国中央銀行がドル資金を調達する状況にある模様です。
■ここで、最近の世界的流動性危機の状況下で、為替相場の変動要因となっている為替取引の実態を振り返ってみたいと思います。
つまり、世界レベルでの流動性危機の中で、ドル資金の調達の為に、為替が利用されているという実態があります。
どういうことかと言うと、自国通貨を売って米ドルを買うというオペレーションが、結果として、対欧州通貨や資源国通貨での米ドル高に繋がっている一面があるわけです。
同様に、円が対ドルで堅調な動きをしている背景としては、やはり、円が今まで資金調達のソースとされてきたことが要因の一つのようです。
要するに、安い金利の円を借りて、高金利通貨や高利回りの金融商品に投資していた向きが、ここに来てリスク許容度を減らす為に円を買い戻すことで円を返済しているという面があるとも言えるのです。
■上記のような需給面からのドル高、円高、欧州通貨安、資源国通貨安の動きや圧力は当分の間は消えないと考えられます。
そして、同時に考慮に入れなければならないのは、米国発の金融危機が世界経済全般の景気低迷、後退に繋がるリスクが高まっていることです。
本来の震源地である米国だけが悪いのであれば、その国の基軸通貨である米ドルが売り浴びせられる可能性が高まるわけですが、事態はそれほど単純なものではなさそうです。
米国のみならず、欧州でも金融危機は深刻化しており、金融機関の整理、統合が進む中で景気の減速傾向が一層深まっていきそうな気配です。ユーロ売り圧力も根強く続き可能性があるのです。
しかしながら、やはり今まで世界の最大の基軸通貨であった米ドルの信認が低下するのは必至であると考えられそうです。
今回、米国政府は金融機関の不良債権の買い取りに7000億ドルもの公的資金を使いますが、この額は、米国の経常赤字に匹敵します。
海外から赤字を穴埋めしてもらう金額が一挙に2倍に増えるわけです。
今後、当分の間、景気低迷が続きそうな経済下にあって、財政赤字、経常赤字という2大赤字がさらに大きく膨らむ国の通貨を誰が積極的に買うのか、という問題が現れてきたのです。
■米国のドル、欧州のユーロ、そして円という3極の通貨がどのような動きを今後していくのか、果てしなく難しい予測となります。
常識的にはやはり震源地でもある米国の通貨、ドルが弱くなっていくだろうという観測が生まれるかもしれません。
しかしながら、やはり難しいのが為替のマーケットです。
頭で考えてその通りに動いてくれないのが為替相場です。
ところで、私は今後、「基軸通貨の世界」から「無基軸通貨の世界」に入っていくのではないかと考えています。
その意味で、とにかく激しく動きやすい相場展開が頻繁に起こる、そんな直感がしています。
長期トレンドを追いかけて、決め打ちのポジションを持つことは、はっきり言って危険である気がします。
「材料」「口実」を見つけては、短期間に激しく動く、乱高下の相場展開を予測しています。
■もっとも、私の相場へのアプローチ方法は、現在の相場の動きを真正面から眺め、分析するやり方であり、とにかく「目の前の相場と仲良くなる」ことです。
時間分析や価格分析(「アクティベート時間・価格分析」)でもって、当面の高値が近いとか、安値を見た可能性があるとか言う判断は行いますが、トレンドがどちらを向いているかという判定は、毎日の相場を見て判断することが最重要と考えています。
例えば、上記の説明の通り、ドル資金調達を目的としたユーロ売りドル買いが発生しているとしても、それがどの程度の期間続くのかとなると、分からないのです。
当初の解釈としては、的を得ているとしても、相場は「タイミング」が全てです。
相場観が正しくとも、相場に入るエントリーを間違えば、評価損を抱えます。
そして、評価損に耐えきれなくなってしまって損切りを強いられた後で、相場が自分の相場観や思惑の通りに動いたとしても、何も収益には繋がらないどころか、損失だけが残るのです。
■私の友人で、以前、株のファンドマネージャーをやっていた人がいました。
彼は、株のファンドマネージャーとしては、不思議なくらい株式相場に対してベアな相場観を持っていました。
確かに、彼は良く勉強もしていて、理論的根拠は大いに一理あるものでした。
しかし何年もの間、ベアな相場観に拘っていた為に、自らのパフォーマンスは他のファンドマネージャーと比べていつも劣っていました。
たまに、調整局面で他のファンドマネージャーと比較して相対的に優位に立つことがあっても、1年を通して見ると、やはり彼の実績は芳しくありませんでした。
そして、ついに配置換えを強いられ、その人事に腹を立てた彼は、その銀行(信託銀行)を辞めてしまいました。
それからしばらくして株式市場の暴落が訪れたのです。
■この事実を何とも皮肉な人生の巡り合わせと済ますか、それとも、やはり彼は相場というものを理解していなかったのか、私なりに真剣に考えたのです。
そして、私が出した結論は、相場観が当たっても結果を伴わなければトレーダーとしては失格だということでした。
それ以来、彼の経験を「反面教師」として、私はトレーダーとして何か一番大切なのか、飽くなき追及を始めたのです。
そこには、まさに「執念深い自分」がいました。
そして、やはり、「相場はタイミングが全て」であり、幾ら自分の相場観が正しいという確信があったとしても、「目の前の相場は常に正しい」ということを認めることが大事だと思ったのです。
多くの人は、やたらとこれからの相場を予想したがる傾向があります。
そして、相場予想をする人の話を聞きたがるのです。
あれもこれも聞いたり、読んだりしながら、結局は自分の相場観が揺れ動いたまま、相場に参入していくのです。
これは最悪です。
自分の相場観が確立していない中で、荒波の海に航海に出るようなものです。
その結果、相場で上手くいかないと相場のせいにする、他人のせいにするという虚しい結末に至るわけです。
■ここで、誤解しないで下さい。
私は決して、自分の相場観が確立していなければ相場に参入してはいけないと言っているのではありません。
極論すれば、私は自分の相場観を持っていなくても良いと思っています。
相場のことは相場に聞けば良いわけです。
一番大切なことは、今現在の相場が上昇傾向にあるのか、それとも下降傾向にあるのか、はたまた、レンジ相場、ボックス相場にあるのかという判断が出来るかどうかです。
超短期、短期、中期、長期のスパンで、相場はどちらに向かっているのか知ることが大事です。
超短期は一日の中で完結させるケース、短期は1日以上1週間程度までで完結させるケース、中期は1週間から数カ月程度で完結させるケース、長期は数か月以上で完結させるケースです。
もっとも、私は、超短期、すなわちデイトレードの場合を除いて、短期から長期まで相場を分けて考える必要はないと思っています。
短期ポジションの延長線上に、中期や長期のポジションが存在すると考えています。
逆に言うと、長期や中期の相場観の中で短期のトレードが行われるべきだと考えます。
さらに言うと、デイトレードでさえ、短期、中期、長期の相場観をバックに一つの方向を決めて参入しても良いと思っています。
それが、結果としてリスクを限定することに繋がることだからです。
■相場を行う上で、「森を見て木を見ない」スタンスは危険です。
「森を見て、木を見て、さらにその枝を見ながら」トレードすることが大事です。
そのようなスタンスを保っていれば、決して大怪我はしないのです。
私の場合、「森」は週足スパンモデル、週足スーパーボリンジャーであり、「木」は日足スパンモデル、日足スーパーボリンジャーであり、「枝」は60分足スパンモデル、60分足スーパーボリンジャーということになります。
そして、さらに「枝」の中の「葉」の部分は、5分足スパンモデルや1分足スパンモデルとなるわけです。
尚、それぞれ時間枠が異なっていても、互いに「相似性」(フラクタル)を持つのが相場の世界の真理であることを覚えておいて下さい。
スパンモデルは、デイトレードから中長期の投資まで、あらゆる時間枠に適用出来る「トレード技術」です。
完全なシステムトレードではないところ、すなわち恣意的な判断が入るところが特徴です。
そもそも、私は、「完全なシステムトレード」は信用していません。
相手は相場です。
簡単に数値で割り切ってしまえるほど単純なものではありません。
私は「究極のシステムトレード」とはやはり恣意的判断を伴うものだと考えています。
もちろん、大部分は、出来るだけ機械的にトレードすることが重要です。
一番大事なことは、自分のトレードを「ルール化」することです。
「マネーマネジメント」、「リスクコントロール」を事前に決めたルール通りに出来るかどうかが成功トレードの秘訣なのです。
■ところで、週足ベースのスーパーボリンジャーは長期の相場トレンドの分析に有効ですが、週足スパンモデルとなると、為替相場の場合は長期過ぎるきらいがあります。
というのも、週足よりも単位の小さい日足ベースのスパンモデルでさえ、たとえば、ポンド円相場を例にとると、過去1年間でシグナルが点灯したのは3回だけなのです。
2007年の11月にポンド売りシグナルが点灯、今年の4月にポンド買いシグナルが点灯、そして8月にポンド売りシグナルが点灯しているのです。
これだけ少ない回数ですから、スパンモデルが如何に長い期間のトレンドを追っている分析手法であるかをお分かり頂けると思います。
一見、短期と思われる1分足スパンモデルでも、現在より52分過去のレートを計算した価格がゾーンの片方のスパン(青色スパンもしくは赤色スパン)の位置を示しているわけです。
■私の相場分析手法の具体的な話に入ってしまいましたが、要するに、私が言いたいのは、今後の為替相場がたとえどのような動きをしようと、目の前の相場のトレンドを的確に掴み取ることが出来れば、堂々と相場に参入していけるわけです。
ここ最近の相場はボラティリティ(変動率)が高まっています。
それだけに、収益チャンスは多く存在しているとも言えます。
もちろん、トレンドを把握出来ず、ただ相場に受け身的に振り回されているだけではリスクに晒される度合いが高まるだけで、損失の可能性も増しそうです。
デイトレードからスイングトレード、そしてポジショントレードに至るまで、すべて、相場の方向がどちらを向いているかの分析、判断が決めてとなります。
これからの将来「無基軸通貨の世界」が訪れる可能性が高いと申し上げましたが、決して怖れることなく、相場を味方にして、相場と友達になって、相場と共に歩むスタンスを取り続けている限り、皆様は相場の世界に生き残れると信じております。
以上です。