■2009年に入ってからの、ここ最近の相場は「新年相場」らしく、激しい動きとなっています。
例年、市場参加者が一気に戻ってくることもあり、いきなり市場の厚みが増す傾向にある中、投資家が市場の先読みをしてポジションの造成も早く積み上がることが様々な動きをもたらすようです。
ドル円相場を例にとると、1月2日からいきなり上昇、6日にかけて高値を付けた後は、週後半にかけて大きく失速、2日の安値であった90.65円も下回り、90.15円まで下落、結局ニューヨーク終値は90.35円となっています。
まさに「往って来い」相場の典型的なパターンとなっています。
当初、ドル円相場が上昇する過程で市場にて聞かれたのは、「オバマ新政権への期待」でした。
一般的に、相場が上昇すれば、その上昇の理由をあれこれ「こじつける」傾向がありますが、「それにしても~~」と言う感じでした。
個人投資家の方に、「オバマ政権への期待」を織り込みながらドル円相場を買っていきましょうと勧めるのは、かなり無理のある理屈であると感じられました。
3日間程度「オバマ政権への期待」で買った結果は、市場に新規のポジションが積み上がったこと、そしてその後は、そのポジションの手仕舞い、巻き戻しという結末になったということでした。
繰り返しになりますが、1月から新年度入りした金融機関やファンドも多く、当然そこで働く「雇われトレーダー達」は心機一転、積極的にポジションを取ります。
しばらく鳴りを潜めていた連中もどんどん市場に参入してきました。
そして、市場の動きが思惑通り(思惑がなくても良いのですが)動いた後は、市場が反対方向に動き出すと一気にポジションの巻き戻しを入れてくる結果となりました。
■そして、週末金曜日に発表された米国12月の雇用統計は、ポジション調整の為の格好の「材料」、「口実」となったのです。
発表の瞬間は、経済指標として確かに弱い結果ではあるものの、数値が予想の範囲内であったこともあり、むしろ好感されてドル円、クロス円相場共に買われる場面もありました。
しかし、ほどなくポジションの積み上がりからの重さに耐えかねたトレーダー達の利食いが入り出すと、ドル円、クロス円相場共に下落に転じました。
雇用統計の中で、11月分の非農業無門就業者数が前回発表より下方修正(マイナス幅の増加)されたことが、まさに格好の「材料」「口実」となったわけです。
ダウの続落、原油価格の下落、等々相場の流れはまさに週末のポジション調整に追い打ちを掛ける格好となりました。
■そもそも、1月相場は、過去の歴史から言っても概ね荒れることが多く、トレンドが発生したと思いきや、急転して逆向きの動きとなることも多いです。
私は、自ら主宰している有料掲示板(http://www.eagle-fly.com/1/mur)で、「マーケットに振り回されないようにリスク許容度を上げておきましょう」などと書かせて頂いておりましたが、とにかくこの時期は、慎重にトレードを行うことが大事です。
この時期の相場は、市場参加者のポジションの「ふるい落とし合い」の様相を帯びる傾向にあると言っても過言ではなさそうです。
それだけ、ここしばらくの相場をじっと耐え忍び、来るチャンスに備えて充分な余力を蓄えておくことが肝要であると考えます。
例えて言うと、日経225相場をトレードする場合、東京9時にオープンするとすぐに勢いよくエントリーするよりも、しばらく様子をみて、トレンドの確認をしてから入っていく方が結果的にはキャリアプロフィット(生涯収益)の継続拡大に繋がるのと同じです。
1日中動いている為替相場とは言え、1月は、1年の相場の始まりです。
1日に12時間あると仮定して、その1時間目の相場であるわけです。
ましてや、実質的に1月の第1週目が終了したばかりです。
まだまだこれから相場は始まるのだという感覚を持っておくことが大事です。
■ところで、さきほど、個人投資家の方に、「オバマ政権への期待」を織り込みながらドル円相場を買っていきましょうと勧めるのは、かなり無理のある理屈であると感じられる、と書きました。
この点でご注意して頂きたいのは、私は、ドル円相場を買うことが間違っているという意味で書いたわけではありません。
私自身、毎日のマーケットレポートにて、昨年12月23日以降、ドル円相場の買いを推奨しておりました。
もっとも、1月9日朝のコメントで「積極的な買いポジションは控えましょう」と判断を変更しました。
尚、「推奨ポジション」ということで毎日書いておりますが、あくまで日足ベースでの判断に基づくものであり、日中トレードの推奨ポジションではありません。
1日に1回ぐらいしかマーケットをチェック出来ない個人投資家の皆様宛に書かせて頂いているものです。
日足ベースのチャート分析に基づくポジションですが、私の場合は、かなり長期に亘ってポジションに変更がないことも特徴です。
例えば、ユーロ円相場を例にとりますと、日足スパンモデルでは、2008年年初に売りシグナルが点灯して以降、4月初めに買いシグナルが点灯、8月12日に売りシグナルが再度点灯、そして、12月31日に買いシグナル点灯と言う具合に1年に4回(12月31日を除くと1年に3回)しかシグナル転換していないのです。
それではあまりに頻度が少なく、収益チャンスを増やせないということで、他の私の分析手法(時間分析やスーパーボリンジャー)を考慮することで、より柔軟に推奨ポジションを提案させて頂いている次第です。
特に、中期的にみた相場の天底でトレードを行うには、時間分析を抜きにしては不可能であると考えています。
いずれにしましても、私は、相場分析、予測を「スパンモデル」「スーパーボリンジャー」そして、「時間分析」の三本立てで行っています。
そして、日足スパンモデルのシグナル発生のタイムラグを補うためにも、より短期の時間枠のスパンモデルやスーパーボリンジャー、すなわち、60分足スパンモデルや60分足スーパーボリンジャーとの統合的な分析に加え、時間分析が欠かせないということです。
ちなみに、この最近、私の有料掲示板にて、推奨ポジションのコーナーに「東京17時トレードモデル」に従ったポジションを公表させて頂いております。
こちらは、毎日の東京17時のレートだけをベースに分析するモデルです。
ドル円、ユーロドル、ユーロ円、日経225を対象として現在、公表させて頂いております。
■さて、ドル円相場ですが、安値87.13円を付けた12月17日は、週足、日足ベース共に、重要な日柄でした。
何と言っても、週足ベースでは、2007年の高値124.14円を付けた週から40週の「対等時間」が見出されます。
124.14円を付けた2007年6月22日の週から、昨年2008年前半の安値95.77円を付けた3月17日の週まで40経過しました。
続いて、この2008年3月17日の週から昨年の安値87.13円を付けた12月17日の週まで同じく40週経過しました。
前者の高値から安値にかけての40週に対して、後者は安値から安値にかけての40週と言う違いはありますが、同じ時間が経過したということで「対等時間」であるわけです。
「対等時間」は私がいつも申し上げている、「変化時間帯」を示す重要な時間分析の概念です。
また、安値95.77円を付けた2008年3月17日の週から戻り高値110.67円を付けた8月15日の週まで22週経過しました。
そして、この8月15日の週から、先週まで同じく22週を経過していたことが分かります。
同じ22週と言う時間を要したということで、「対等時間」であったわけです。
このことから、先週は、週足ベースでみて、重要な変化時間帯であったことが分かります。
このタイミングで、戻り高値94.65円を付けたことの意味は大きいと判断され、時間的にみて、少なくとも重要な上値重要ポイントとなったようです。
上記より、週足ベースの時間分析からは、下値重要ポイントは87.13円であり、上値重要ポイントは94.65円となります。
尚、月足ベースの時間分析では、2007年の高値124.14円を付けた月である2007年6月から昨年2008年12月までの時間は19か月であったことが分かります。
そして、過去をさかのぼること、2005年の高値を付けた2005年12月から2007年の高値124.14円を付けた6月までの時間が同じく19か月であったことから、「対等時間」が存在していることが分かります。
以上のように、時間分析を行ったところ、如何に昨年の安値87.13円を付けたタイミングが重要であるかが理解出来ます。
ドル円相場の今年前半の最大のテーマは、この87.13円を下抜けるか、それとも、戻り高値94.65円を上抜けるかであると言っても過言ではなさそうです。
尚、これら時間分析に関する毎日のレポートは、唯一、本メルマガ後半にてご紹介している「マーフィーの実践トレードコーチング有料掲示板」でのみ発信させて頂いております。
また、その一部抜粋をワカバヤシFXでのレポートに載せさせて頂いております。
■尚、ドル円相場は、日足スパンモデルにて、ドル売りシグナルが点灯継続する中、実勢レベルがレジスタンスゾーンの下限を再び下回ってきていることに加え、遅行スパンが実態ローソク足に上値を抑えられて反落していることも、ドル売り圧力の再燃を示唆しています。
また、日足スーパーボリンジャーでみても、先週末金曜日のニューヨーク市場終値がセンターラインを下回って引けています。
1月2日にセンターラインを上回って引け、さらに翌営業日である5日も引き続きセンターラインを上回って引けたことで、昨年8月末以来続いていたセンターラインを上値抵抗としてのドル下落トレンドが転換したと判断する根拠となっていました。
それだけに、12日月曜日のニューヨーク市場終値が果たして2日連続してセンターライン(12日現在、90.70円近辺)を下回ることになるかどうか、大いに注目されるところです。
その他、ユーロドル、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、NZドル円、スイス円、カナダ円相場等につきましては、「有料掲示板」(「有料メルマガ」とのセット)をお読み頂ければ幸いです。
以上です。