■ここ最近の世界の株式相場の動きと為替相場の動きは、以前ほど合致しない状況となっています。
NYダウにしても日経平均にしても、欧州の株価指数にしても大幅に下げているにも関わらず、信用リスクの高まりからの対ドル、欧州通貨、資源国通貨での円買い圧力は減退しているようです。
元々、リスク許容度の減退からの円買いという「相場解説」自体に無理があったとも言えます。
さらに言えば、確かに昨年のマーケットでは、リスク許容度の減退から円キャリートレードの巻き戻しという動きが一部で見られたのは事実です。
しかし、世の中に積み上がったポジションの調整が一段落すると、信用リスクの高まりは、「ネガティブサプライズ」ではなく、「ポジティブサプライズ」に変化してきたとも読めるわけです。
■何はともあれ、最近の為替相場は、昨年秋の相場ほどではないものの、相変わらずボラティリティ(変動率)の高い展開が続いています。
ボラティリティが高い分だけ、デイトレードのチャンスも多いと言えるでしょう。
それこそ、東京時間中は上値の重い展開が続いていても、欧米時間に掛けて、相場が急変して大きく一方向に動くこともあります。
ですから、デイトレードと言えども、リスク管理、ポジション管理をしっかりと行わないと、途中まで上手くいっていても、「元の黙阿弥」となりかねません。
ところで、日中にトレードに専念出来ない個人投資家が、為替相場に手を出す場合に気をつけなければいけないことは、やみくもにポジションを取らないことです。
出来れば、中長期の相場観を持って、少なめのポジションをキープしつつ、日中にチャンスと見れば参入するくらいの精神的余裕が欲しいところです。
とにかく、焦りは禁物です。
四六時中、マーケットに入ってポジションを持ち続ける人は、完全なデイトレードでもないかぎり、中長期の強い相場観でも持ち合わせていない場合は、リスクが高いと言わざるを得ないでしょう。
■尚、私の場合は、中長期の相場観をまず構築して、基本のポジションを決定することが多いです。
そして、日中については、その自分の考えた相場トレンド方向に向かうと判断出来る時に、積極的にポジションを増やすようにしています。
また、相場が自分の思惑の方向に動いていない時でも、ポジションを造成する上で絶好のチャンスと判断すれば、エントリーするように努めています。
一例ですが、もし、相場が上昇局面にあると判断した場合に、東京時間にじりじりと値を下げる局面にて、日足ベースのチャートを見ながら、少しずつ買い下がる戦略を取ることが有効です。
一方、相場が下落局面にあると判断した場合に、東京時間にじりじりと値を上げる局面がある場合に、日足ベースのチャートを見ながら、少しずつ売り上がる戦略を取ることも有効ということです。
より具体的に言うと、相場が上昇局面(下落局面)にある場合、日中のマーケットにて、5分足や1分足チャートでみて、値を下げる(値を上げる)局面であっても、やや長めの相場観をベースにして、日足ベースのチャートでのサポートライン(レジスタンスライン)に掛けて買い下がる(売り上がる)といった戦略です。
このように、リスク許容度を上げて、相場に挑めば、それほどストレスを感じることなく、マーケットに参加することが出来ます。
日中に用事等があって、マーケットから目を離さなければならない場合でも、比較的余裕を持って相場に挑むことが可能となるわけです。
また、1回のトレードに際しての本数を減らしてエントリーすれば、最初に買ってから、下げる局面があっても、逆に、ここぞとばかりに、ロングポジションを増やすこと出来ます。
一般的に言って、もし、一気に大きなサイズのポジションを持つとした場合は、少しでもアゲンストにいけば、ストレスを感じ易くなり、相場を冷静に見られなくなりケースが増えてしまいがちです。
もちろん、完全にデイトレードに徹していて、数銭から数十銭という目先の利鞘を狙いに行く場合は、1回に大きめのポジションを取るという戦略もOKです。
と言うのも、1分足や5分足での短期のスパンモデルは、日中の大きな動きに対応する上で最も効果的な情報を与えてくれるからです。
日中トレードに極めて適した分析ツールとして、ご活用して頂ければと思います。
ただ、あくまで、一般的な会社員の方などで、日中マーケットをなかなか見られない場合は、中長期の基本的相場観を持った上で、ここぞという時にだけ、マーケットに参入する戦略もあるということをご紹介した次第です。
■さて、それでは、相場動向について少し触れてみたいと思います。
ドル円相場ですが、堅調相場を続けています。
昨年9月15日以来続いていた、ドル売りシグナルが2月18日(水曜日)にドル買いに転換しました。実に5か月振りのシグナル転換となったわけです。
日足スーパーボリンジャーによると、センターラインが上向きとなっていること、直近の実勢ローソク足がプラス1シグマラインに支えられて推移していることから、典型的な堅調相場となっているのが分かります。
日足スーパーボリンジャーの遅行スパンも、昨年8月7日以来、初めて、本格的に陽転しているのが分かります。
尚、日足スーパーボリンジャーの遅行スパンの陽転とは、遅行スパンが26日過去の実勢ローソク足を上回って推移することを示します。
実に、6か月振りに遅行スパンが陽転したことになります。
上記のことからだけでも「相場つき」に変化が見られていることが見てとれます。
■尚、有料の掲示板には週末にかけて書かせて頂いた内容ですが、実は週足スーパーボリンジャーのセンターラインが先週末時点で94.30円近辺に位置していました。
この週足スーパーボリンジャーのセンターラインというのは、終値ベースでの抵抗ラインとして重要なポイントであり、通常は1回では抜けない価格水準なのです。
瞬間風速で抜けることはあっても、終値では抵抗されてしまうラインと言えます。
先週(16-20日)の時点で、週足終値が94.30円を簡単には抜けないという「相場観」があったわけです。
私は、ドル円、ユーロドル、ユーロ円、ポンド円等に対して「ブル(強気)」、すなわちロングポジションをキープしていましたが、このドル円の抵抗ラインを目の前にして、ドル円のロングだけは外しました。
もっとも、ドル円は、来週、日足スーパーボリンジャーや日足スパンモデルを見ながら、押し目買いを考慮しています。
一つ、ここで注意しておかねばならない点は、日足ベースでの遅行スパンです。
遅行スパンのリズムが、ドル円の下落、クロス円の下落を示唆している点です。
この辺りの動きを念頭に置きつつ、60分足ベースのスパンモデルやスーパーボリンジャー分析を入念に行って参入する必要がありそうです。
■次に、ユーロドルですが、こちらも有料掲示板等に書かせて頂いた内容ですが、日足時間分析からリズミカルに動いているのが見てとれます。
以下は、先週、ユーロドル相場の時間分析として、書かせて頂いたものです。一部ご紹介させて頂きます。
『戻り高値1.4720を付けた昨年12月18日から、安値1.2513を付けた2月18日時点で44日経過しました。44日というのは、基本重要数値の一つである「42」の近似値です。変化時間帯になっています。
ところで、戻り高値からの下落のステージとして、似た局面がありました。
それは、昨年9月22日に戻り高値1.4867を付けたユーロドル相場は、その後大きく下げ、1.2329を付けましたが、安値圏で揉み合った後、9月22日から45日目であった11月21日に1.2431を付けた後、反転、上昇に転じました。
45日下げた後に上昇に転じたわけですが、今回は18日時点で44日下げていることになり、注目すべき日柄であると考えます。
また、週足ベースの時間分析にて、今週という時間は、ユーロ史上最高値である1.6040を付けた昨年7月15日の週から32週目に応答しています。
上記より、やや長めの日足時間分析や、日足、及び週足時間分析からは、現在のユーロドルの動きは、変化時間帯に位置するタイミングに差し掛かったことを要因としていることが分かります。』
以上、抜粋、引用でした。
要するに、ユーロドル相場の反転、上昇の動きは時間のリズムに沿った動きであると読めそうです。
尚、ユーロ円相場も上昇基調を保っていますが、週末の動きに関しては、ユーロ上昇につられる格好であり、ドル円主導ではありません。
ここ最近は、ドル円を軸としたクロス円相場(ユーロ円、ポンド円など)の動きが見られていただけに、来週以降の動きが注目されます。
ドル売り傾向が続く場合は、ドル全面安となる中で、ユーロドル上昇、ポンドドル上昇、円も対ドルで上昇圧力が加わる格好となる可能性はあります。
しかし、肝心なのは、実際の相場が生み出すチャートです。
このチャートの動きさえ見ておけば、次の一手も見えてくるわけです。
ドル円相場の項でも書かせて頂いたとおり、今週(23-27日)は、特に遅行スパンの動きに注目の週となりそうです。
今週も、淡々と相場を追いたいと思います。
以上です。